【工房訪問】益子の陶芸作家、鈴木稔さんを訪ねて。

6月2週目、雨まじりの日曜日に、鈴木稔さんの工房見学へ出かけました。栃木県益子町の山間の細い林道を抜けたところ。空には雲と鳥の声。深呼吸すると土の香りがひろがるような気持ちのよい場所に、工房と3連の登り窯、そして住居が並んでいました。

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鈴木さんは石膏型を用いてうつわを作るのだそう。じつはそれを聞いて、少し驚きました。これまで写真でみる限りでしたが、まるみやいびつさ、釉薬の印象からもきっとろくろを挽いているのだろうと思っていたので。

たしかに全体的にまるみのあるフォルムでも一部だけ直線的な部分があったりと、その複雑さを見て納得。型の継ぎ目の線を削りおとさず、文様として残すのも鈴木さんのスタイル。このわずかないびつさや歪みもすべて型のデザインなら、なんて細やかな感性なんだろう。「ろくろは毛筆、型はフォントのような感覚」とは鈴木さんのことばですが、この表現も、細部への美意識を表すように感じました。

このあと周囲をぐるっと見回すと、工房内の道具置き場や庭先の鉢の配置も、すべてデザインされているのかな?と思うほど美しくて、たびたび立ち止まり見入ってしまったのでした。

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作業台上部の壁に並んでいたのは、ヨーロッパの蚤の市などで見つけた絵や陶器など。最近はケルト民族や宗教美術にも注目しているとか。さらにWEBで気になった画像のストックするなど、自分が良い!と感じたさまざまなものから、図案のインスピレーションが生まれるそう。

鈴木さんの心にとまったさまざまなエッセンスが、この小さなうつわに詰まっているとは、なんと贅沢なことだろうか。

「うつわは料理をのせて完成する」と話してくださる鈴木さんを前に「料理をのせる前に、しっかりうつわを味わいたいなぁ」とむしろ逆のことを思っていたのは私だけではないはず。ものづくりの魅力やたのしさに改めて魅了された1日でした。

もっともっと勉強したいなぁ、あの日からワクワクが止まりません。

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店主松永 千晶
threetoneを切り盛りする店主です。クックパッド株式会社在籍中、うつわ部所属。うつわや食に関する執筆活動も行っています。撮影はいつも自宅の窓際で。

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